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32❅·̩͙ ページ32

対峙していた男が不意に携帯を取り出した。
耳に当てた僅か数秒後、
気色の悪い笑みを浮かべて短すぎる通話が終わる。



「 引き上げんぞ 」



唐突に放たれた退散の宣言に耳を疑った。
頑として動かなかった姿勢はそう簡単に変わるものじゃない。



今の電話。
それはきっと、目的を果たしたことを告げたのだろう。



悪い予感がする。



『…おい、Aちゃんは?』


「俺の逃げ場に匿ったで」


『今もそこにいんの?』


「出てきたらあかんとは言うたけど…確実じゃない」



紫の雪から舌打ちが漏れた。
彼が頭となって掲げられた流儀。
" 女の子は決して巻き込まない "



それが破られようとしている。



「お前ら、あの子になんかしたの」



いつものおちゃらけた声からは予想できないほど
地の底から響くような低音が辺りを包む。



青の雪が1歩前に出た。
野獣はその表情を見て
やはりただの遊び相手ではないと確信する。
使える。こいつらの弱みを、やっと握ることが出来た。



守るものが多いほど人は弱くなる。
失うもののない自分たちには、もちろん守るものなど何も無い。



「 さぁ、何のことかな。仮にしたとしても
ただの遊び相手なら関係ないよな 」


「俺らは女巻き込まねぇって決めてんだよ」


「 なら助けに来れば?電話の向こうで渡辺って聞こえたよ笑
白雪姫、オウジサマが助けに行かなきゃ」



青い雪の拳がきつく握られた。
ここにいる誰よりも早くその場を去った彼の後に
黒い雪とオレンジの雪が続く。



続々とメンバーが鬼のような顔をして去る中、
白雪の名を背負う2人は最後までそこに居た。



「 あれあれ、俺なんかに構ってていいの?
姫、どんなことされるか分かんないよ笑」


「二度とそんな口が聞けねぇようにしてから向かっても
遅くねぇよ、俺らがいなくたってオウジは7人もいんだから」


「頭以外は俺に任せろふっか」


「ん。終わったら照も向こう合流して」



2人が構えたタイミングで
ちょうど1時間目を告げるチャイムが鳴った。



まるでそれが開戦のゴングかのように
野獣たちが2人に襲いかかった。

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hrr - おもしろくて一気読みしました!続き楽しみにしています! (4月10日 14時) (レス) id: 5934ce0412 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カジャ | 作成日時:2024年3月20日 19時

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