-dt- ウワサのふたり。 -男主- (ページ9)

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『ん...、りょた、？』

そんな昔話を思い出しながら耳たぶを触り続けると目を覚ますA。すり、と撫でるとぴくんと身体を反応させて。

『くすぐったいよ...』
「ごめんね？」
『っん、』

耳たぶから手を離して今度は耳元で囁く。ちゅ、ってピアスホールのある耳たぶにキスを落とすと恥ずかしいのか、真っ赤な顔を俺の胸に埋める。

『〜〜〜っ、も、やだぁ....』
「ふふ、かわいい」

そんなAの背中に腕を回して胸の中に閉じ込める。

『りょた...ふふ、苦しいよ』

そうくすくす笑うAは可愛くて、頭のてっぺんにキスを落とすと顔を上げたAと目が合う。

「Aってそんなに耳元弱かったっけ？」
『...涼太がいっぱい触るからでしょ』

そーいう行為の時も触る癖にというAに、そうだったかなあなんてとぼける俺をグーパンチしてはばか、なんて言って。
その力はよわくて、ふふ、なんてまた笑みがこぼれてしまう。

『あ、ほらまた触る』
「Aってピアスつけないよね。」
『....それは、だって。』

せっかく俺が開けたのに。なんてメンヘラチックなこと、絶対言わないけど。

「だって？」
『...涼太がつけたらつけるもん』

どうやら俺が普段付けないから、自分も付けないらしい。
俺だけつけてもおそろいじゃないじゃん、とのこと。

「おそろい、ね」
『...なに』

俺を見つめるAを見て昔のことを思い出しては頬が緩む。

表情だけでAの考えてることが分かるなんてあの頃の自分に言ったら驚くだろうな。

不貞腐れた顔をしているけど赤く染った耳が見えていて。
おそろいにしたがるところも、照れ隠しが下手なところも。

「かわいいね。」
『...うるさい』

次の日。おそろいのピアスをつけて現場に行ったことは2人だけの秘密。