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『ごめん、電話だ』
電話に出ながらペンとスケジュール帳を持って出ていくA。
「鍛えてるとは意外だったなー」
「服の上からわかるって相当鍛えてんじゃね？ね、涼太？」
「そうじゃん。だてさん付き合ってるんだし見たことあるよね？」
「まあ...うん」
あんなことやそんなことしてんだもんなー。そうニヤニヤしながら言う翔太を睨む。
ラウールの前でそういう話はやめて。ラウールもきゃー！なんて反応するんじゃないよ。
数分後、戻ってきたAがパソコンなどを片づけながら言う。
『会議入ったから行くね。送れなくてごめんだけど気をつけて帰ってね』
「はぁーい。腹筋今度見せてね」
『はいはい、機会があればね笑』
「ねえそれ見せないやつじゃん！」
しゅん、と悲しそうなラウールには申し訳ないけど、Aの肌が晒け出されずに済んだこと、見せる気が無いAの言い方にホッとする。どこか残念そうな翔太は無視しておこう。
「じゃあ僕かーえろ。しょっぴーとだてさんは？」
「俺はちょっと残るよ」
「俺ラウールと帰るー」
「翔太が一緒に、って珍しいね」
「うるせえよ」
「きゃはは！」
じゃあね。と手を振る2人に手を振り返す。
さて、俺はAが来るまで待ってようかな。
＿＿＿
『あれ？涼太帰ってなかったの？』
「ん。Aのこと待ってた。」
『戻ってこなかったらどうするの？笑』
「絶対戻ってくると思ったの。」
えー？なんてクスクス笑うA。かわいい。
「あ、これ忘れてったよ」
『え？あぁ、』
俺がプレゼントしたネクタイピンを渡す。
『...うん。ありがと。』
歯切れの悪い返事をするAを見て、わざと忘れ物したんだなって分かった。
しかもわざわざネクタイから取ってソファーの上に置いたんだ。
差し出したネクタイピンをどっちも離さない。
『り、涼太？離す気は....』
「ない。...これさ、」
『...』
「戻ってくるから待ってて、の忘れ物だと思ったんだけど。」
だから来たんだよね？ちがう？そう顔をのぞき込むと恥ずかしそうに頷いて。
『...せーかい』
とんがってる唇にちゅ、と吸い付いて離れると、どんどん顔を真っ赤にしていくA。
『っ見られたらどーすんの！』
「大丈夫、俺とAしかいないよ。」
そう言ってさっきより長めに唇を合わせたら、今にも爆発してしまいそうなほど真っ赤な顔したAに怒られちゃった。
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作者名：東雲 | 作成日時：2023年2月4日 1時
