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食べちゃいたいくらい、 ページ20

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かわいい。

恋人の涼太は、男の俺にそう言ってくれることが多い。

悪い気はしないのでその言葉を素直に受け入れるけど、かっこいいの方が嬉しいななんて思う時もある。


『はぁ....』
「ん?なんか悩み事?」
『うーん。まあでも、ほんっとにくだらないこと。』


ついてるよ。と涼太の口についてる米粒を人差し指ですくって涼太の口に押し込む。


「...キュンてした」
『っへ?』
「A、かっこいいね」


おお、と驚いた声を出して、立ち上がった俺を見る。


『かっこいい?』
「うん」
『おれ、かっこいいの??』
「うん、Aかっこいいよ」


どうしたの?なんて笑いながら食べ終わった食器をシンクに持っていく涼太の後ろをついて行く。


『そっかー、俺かっこいーか』
「...うん、でもやっぱりかわいいね」


ふふ、と笑って俺の手から食器を取ってシンクに置いてくれる。こういう気が利くところが好き。


『...かっこいいもっとちょーだいよ』
「もちろんいつもかっこいいけど、俺にとってはかわいいの方がしっくりくるかな」


だってさ。そう言って後頭部と腰に腕が回って身体がくっつくと角度を変えながらキスを落とされる。


『りょ、っん』


口を開けば舌を絡め取られて、後頭部に回った手が首をするりと撫でると俺の身体は力が抜けて涼太に抱きとめられる。


「は....ほら、ね。かわい。」
『う....も、かわいいはいいって...』
「だってかわいいじゃん」


そう言うと食器を洗い始めた涼太の隣に立って、タオルを持って渡された食器を拭いていく。


「ごめん泡飛ばしちゃった...ふふ、かわいい」
『...また言った』
「だって鼻の先に泡って...」
『あざといアイドルみたい』
「んふふ、ね。」


俺だって、涼太がかわいいと思うとこはいっぱいあるし、むちむちの腕とか食べちゃいたいなんて思ってることは内緒にしておこう。


...まあ、これから食べられるのは俺なんだけど。


お風呂も済ませてあとは寝るだけ。スイッチが入ったようにAのここがかわいい、そこがかわいいと何度もかわいいを伝えてくれる涼太の口を塞いだ手をシーツに押し付けられれば、甘い時間の始まり。


『〜も、やだぁ、ぁ...っんん!』
「っふ、かわい。Aかわいい」
『ッあ...ゃ、〜っ!』



結局、かわいいかわいいといっぱい伝えてくれるのがなんだかんだ嬉しい俺がいて...かっこいいはたまにでいいのかもしれない。

だって恋人からの可愛いは、最高に嬉しいじゃん?

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作者名:東雲 | 作成日時:2023年2月4日 1時

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