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不安を抱えながら臨んだ収録も終わり。
俺もAもこの後仕事が無かったので、いつもみたいに一緒に帰る。
今にも泣き出しそうなAをソファーに座らせて、なるべく優しく問いかける。
『...きもちわるい、』
「え、」
恋人の体調不良に気づけないなんて。水を持ってこようと立ち上がろうとすると裾を引っ張られる。
『ちがう、』
「...ん、そっか。」
具合が悪い訳では無いならとりあえず一安心。
「どうしたのって聞いてもいい？」
『...うん。』
「ん。教えてごらん？」
『男と付き合うとか、きもちわるいって』
「...だれに？」
『アイドルの、』
元気の無い原因はさっきの子か。そんなこと言っときながら勝手にAに触れるなんて許せないね。
耳を押さえるAの手を取って、胸に閉じ込める。
「だめ。そんなの真に受けちゃだめだよ。」
『っでも、んむ、』
なにか言いたげなAの口を塞いでキスを続ければとんとんと胸を叩かれて唇を離す。
『涼太がいつ俺を好きじゃなくなるなんて分か、』
「分かるよ。」
許されるのならAを一生ここに閉じ込めてしまいたい。Aが見る世界には俺だけがいればいいのになんて、とても綺麗な感情じゃないけど。
「俺だけの言葉を信じてればいいの」
『っ、』
「ね？」
『うんっ、ごめ...りょーた、ごめ、っ』
安心したようにポロポロと泣き出したAの頬を包み込んで、涙を掬う。
「ごめん、じゃなくて？」
『...ありがと。だいすき。』
「ふふ。俺もAが大好き。」
『...ふふっ』
嬉しそうに笑うAにちゅ、とキスを落とす。
「でもこれだけじゃ伝わんないんだもんね。」
『ん？』
「俺がどれだけAを愛してるか。」
どさりとソファーに押し倒して服の中に手を突っ込んで。
『っん...！伝わってる、伝わってるから...っ』
「ほんとに？」
『ほんと...ぁ、待っ...〜〜！』
これでもかってくらい愛情を注いで、しるしを付けて愛を囁いてAいっぱいに俺の愛を刻んだ。
『もっとぎゅーってして。』
「仰せのままに。」
狭いソファーの上で密着して、このままひとつになっちゃえばいいのになんて思う。
くるしいよと言いながらも嬉しそうに笑って抱き締め返してくれるAが愛おしい。
Aをこんな顔にさせたのも、耳にキスをしたのも絶対許さないけど、こんな濃密な時間を過ごすきっかけをくれたあの子にはちょっとだけ感謝かな。
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作者名：東雲 | 作成日時：2023年2月4日 1時
