-dt- ウワサのふたり。 -男主- (ページ16)

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袖クルって呼ぶらしいページ16

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料理が壊滅的で「せめてこれだけは！」と言うAに、お皿洗いを任せて数年。

相変わらず鼻歌を歌いながらお皿洗いをするAの背中をじぃっと見つめる。その視線に気付いたのか振り返って俺の名前を呼ぶ。

『ごめん、袖まくって〜』

泡だらけの手で言うAの服の袖は肘の下まで伸びていて、めんどくさがり屋だから適当に捲っただけなんだろうなと思いながら近づく。

「ちゃんとくるくる折らなきゃだめだよ」
『はぁーい』

後ろから抱きつくように腕を回して、パーカーの袖を折っていく。こんな形で捲ってもらうと思っていないであろうAは驚いて肩をびくりと揺らす。

「はい、でき...Aさん？」
『赤くない....』
「まだなんも言ってないけど」

密着した身体と、耳元にある俺の唇。耳を赤くするAの顔はもっと赤いんだろうなって想像してふ、と笑うとかわいい反応を見せるAにいじわるしたくなって。

そのままお腹に腕を回してぎゅうっと抱き締めればわっと声を漏らす。

「早く終わらせてゆっくりしよ？」
『じゃあ離れて』
「やぁだ」
『う....』

耳元にキスを落とすと観念したのかお皿洗いを再開するA。耳元や首筋に顔を埋めて唇を寄せればぴくりと反応するのがかわいくて今度は裾から手を侵入させる。

『っ、』
「ほらもうちょっとだよ。」
『ぅ...あ...』
「がんばれがんばれ」

終わったのを確認しつつ薄いお腹をするりと撫でて、ここからは仲良しのお誘いをするだけ。

『おわった、おわったから、』
「ん、じゃあソファーでゆっくりしよ」

タオルを取ってまた後ろからAの手を拭く。拭き終わればAは身体ごとこっちを向いて、首に腕を回されて抱きつかれる。

「A、歩けないから1回離れよっか」
『んん...やだ』
「そっかあ、嫌かあ」
『...ベッドがいい』
「...。」

お誘い成功。うれしくて思わず黙ってしまうとバッと身体を離して真っ赤なお顔が目の前に。

『何か言ってよ....てか誘ったの涼太でしょ....！』
「ふふ、ごめんごめん。」

ぷんすかしているAの頬に手を添えて親指で唇をなぞって言う。

「ベッドで仲良ししよっか」

返事をしようと開いた口を塞げば代わりに聞こえるのは鼻にかかる甘い声。ベッドにたどり着けばそこからはもう、お察しの通り2人の甘い時間を過ごした。