予約済みのしるし ページ14
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「だてさん薬指どした？」
ふっかのその言葉に、言われた訳でもない俺の心臓がドキリと跳ねるのには理由がある。
＿＿
「Aの指は細くて綺麗だね。」
就寝前。なかなか眠れない俺に付き合ってくれている涼太の温もりを背中で感じながら、後ろから回る手を取ってにぎにぎしたり手を合わせたりしていると、するりと指を撫でて言う。
『涼太の指だって綺麗。好き。』
「ふふ、ありがと。」
そう言って指を絡めとって恋人繋ぎにした手を口元へ持っていくと。
『〜〜っずるい、』
「ふふ、顔真っ赤。」
『うるさい....』
左の薬指にちゅ、ってキスを落とされて顔が熱くなっていく。
「かわいい。」
そう言って耳や首筋にキスを落としたと思うと今度は耳の裏に涼太の柔らかな唇が触れて。
『やっ...つけちゃだめ、』
「んー」
じゅ、と吸い付かれる音と同時に、チクッとした痛みがする。俺はマネージャーだから痕がついてても大丈夫だけど、アイドルである涼太に俺は付けられないのでいつももどかしさだけ残る。
それを分かっているのにキスマークをつける涼太はずるい。俺だって涼太に俺の物ってしるしを付けて、色んな人に見せつけて、あわよくば涼太を困らせたいのに。
いつの間にか離れていてお腹に回る涼太の手を取って口元に持ってくる。左の薬指にふに、と唇を押し付けてちゅっと音を立てれば
「こら。お口離して？」
ね？そう優しく諭す涼太を無視して、がぶりと歯を立てる。
『...。』
「...。」
『...へへ』
まずかったかな？そう思いながら身体を回転させて向き合う。
怒ってるかもと思ったけどそんな感じはしてなくて、ほんのり頬を赤くしている彼を愛おしく思う。
「....見ないで」
そんな顔を隠すように後頭部に手が回って、分厚い胸板に押し付けられる。強く抱きしめられながら背中に回った手は子供を寝かしつけるようにとんとんしてくれて、妙な安心感で目を閉じた。
次の日。ふと見えた涼太の薬指には俺の歯型がついていて、痕着けてごめんねと伝えるとふわりと笑って言う。
「いつか本物の指輪ここにつけようね。」
そんな言葉に嬉しくなって、思いっきり胸に飛び込んだ俺の身体を抱きとめてくれる。
いつか家族になれたらな、なんて叶うか分からない未来に期待なんかしちゃったり。
＿＿
「噛まれちゃったみたい」
「あー、レインボーローズくん？」
「そうそう」
そんな会話を聴きながら感じる視線に、顔が熱くなった。
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作者名：東雲 | 作成日時：2023年2月4日 1時
