月あかりと陽だまり ページ31
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「あげる」
佐「んにゃ、気ぃ遣わなくていーのに」
最近「飲めるようになったー!」と嬉しそうにニコニコしてたカフェラテを渡すとさっくんの眉毛が下がった。
佐「でもありがとねー」
ゆるっと笑うさっくん。
気ぃ遣わなくていいって言うけど…よく見たら湿っている髪と強く香るシャンプーか何かの匂いに、慌てて出て来てくれたんだろうなって思うと、何もせずにはいられない。
佐「お泊まりするでしょ?」
「…ごめんね、また急に」
佐「Aちゃんなら大丈夫だって。
ツナも喜ぶだろうしね〜」
「わたしもツナに会いたい…」
佐「お!虜になっちった?」
自分のことじゃないのにふふんって得意げに笑うさっくんは、あの子達のことを本当に我が子みたいに思ってるんだろうな。仲良しで可愛い。
「今日は…"ラウ"さん、居ないの?」
佐「んぅ?あれ、ラウールの話したっけ?」
ラウールさんっていうんだ。
首を横に振ると「だよねぇ」って不思議そう。
「阿部ちゃんとひかるさんが話してたから…」
佐「もしかしてずっと気にしてた?」
「…うん。迷惑にはなりたくないの
今更手遅れかもしれないけど…」
この前あれほど醜態を晒したというのに今日のこれだもんな…かけられる迷惑はもう散々かけている気がする。
私の心配とは裏腹にさっくんは穏やかな顔をしていて。あれ?って。
佐「ラウールはね、オーナーのお孫さんでモデルなの」
「モデルさん?」
佐「しかもまだ17歳の高校生!」
「えっ 凄いねぇ…」
佐「学校行きながら仕事もしてて、その為に親元離れて上京して来たんだって。ラウの父ちゃんと母ちゃんも夢は応援したいけど一人暮らしはさせられないって…心配だからね。そんでラウのじいちゃんが経営してるシェアハウスで俺らと一緒に暮らすことになったの!」
なるほど…皆さんが気に掛けているのも当然だ。
未成年で、しかも1人で上京なんてきっと凄く心細いよね。
佐「前に照が言ってたでしょ?元住人の女友達と色々あってーって。その子ね、ラウのこと知ってて…それでちょっと好意がね、暴走しちゃったって言うか…」
所謂「推し」のプライベートに意図せず遭遇して、「手の届かなかった存在」にちょっと押せば手が届くんじゃ?って思っちゃったらしい。
佐「ラウールも優しいからさ、応援してくれる人を適当にはあしらえなくてね〜…そっから異性に対して苦手意識が生まれちゃったんだよね」
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あむ(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます!暖かいお言葉嬉しいです^ ^更新がんばります! (3月27日 13時) (レス) @page34 id: 3fabfc8fab (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お話の流れと展開が好きです (3月26日 21時) (レス) @page36 id: 5ebabfabca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2024年3月18日 23時